日本におけるグリーン・スチールへの転換

日本の鉄鋼業は、高品質の鉄鋼製品を作り出してきた歴史があります。一方、最もCO2排出量が大きい産業でもあり、2050年ネットゼロ目標にむけて脱炭素化が強く求められています。 

Steelmaking blast furnace
photo of blast furnace

GHG多排出産業である鉄鋼業界の取り組み

鉄鋼業は日本経済の基盤であり、何万人もの雇用を支えています。鉄鋼と関係が深い自動車産業や建設業をはじめ、多くの分野で高品質の鉄鋼製品を製造することで知られています。 

一方、鉄鋼業は日本の産業部門におけるCO2排出量の40%以上を占める排出源でもあります。高品質の鉄鋼製品を作り出してきた高炉の半数以上は、2030年までに再投資が必要な状況ですが、これは、グリーン・スチールを生産する新技術に投資する千載一遇のチャンスです。 

今こそ、日本企業がネットゼロ・スチールへの需要を示すタイミングです。日本が2050年ネットゼロ目標を達成し、世界のグリーン市場におけるビジネスチャンスをものにするためには、グリーン・スチールへの投資が大きな役割を果たします。 

SteelZero logo

SteelZero:ネットゼロ・スチールの需要を構築する世界的イニシアチブ

SteelZeroは、鉄鋼業のネットゼロへの移行を加速するため、主要な企業等によって構成されている世界的なイニシアチブです。SteelZeroに参加する企業等は、2030年までに購入・指定・使用する鋼材の50%を低炭素鉄鋼にすること宣言し、また、2050年までに使用する鋼材を100%ネットゼロ・スチールにする明確なロードマップを設定します。 

SteelZeroは、加盟企業の購買力と影響力を結集することで、鉄鋼のマーケットおよび政策を、より責任ある鉄鋼の生産と調達にシフトさせる大きな需要シグナルを発信します。 

Bunkyo Civic Center, Tokyo, Japan

ネットゼロ・スチールのビジネスチャンス

ネットゼロ・スチールへの移行で競争優位を獲得する

日本は世界第2位の鉄鋼輸出国ですが、国際競争力を維持するためには脱炭素化が必須です。より厳しいGHG排出規制が世界で施行される中、ネットゼロ・スチールへ移行しないことはビジネスの損失につながりかねないリスクとなります。

EUの炭素国境調整メカニズム(CBAM)と米国のインフレ抑制法(IRA)は、それぞれEUと米国以外から輸入される炭素集約型製品に新たな関税を導入するものです。他の地域でも同様のペナルティを課す関税が予定されており、脱炭素されていない鉄鋼の世界市場はさらに縮小することが見込まれます。

ネットゼロ・スチールへ早急に移行することで、日本企業は、競合他社が炭素税によって不利になる一方、このようなマーケットとの強い取引関係を維持することができます。ネットゼロ・スチールへの移行は、自社の排出削減目標を達成し、ビジネスの持続可能性に寄与するものなのです。

cars on a production line being assembled

ネットゼロ・スチールのビジネスチャンス

 グリーン製品を求めるグローバル企業を惹きつける

グローバル企業は世界中で低炭素製品を求めており、調達のためのプレミアムの支払いを厭わなくなってきています。SBTにコミットし、目標達成のために低炭素材料への投資を検討する企業も増えています。

日本企業は、サプライチェーン全体を脱炭素化することで、社会的責任を果たし、グリーン製品に関心を寄せる優良顧客を獲得することができるのです。

SteelZero加盟企業が先導

SteelZeroのパワーの源は、建設・自動車・海運・再生可能エネルギー業界におけるリーダーでもあるSteelZero加盟企業から生まれます。

ボルボやレンドリースなど、最大の鉄鋼需要先である自動車業や建設業における国際的リーダー企業がSteelZeroに加盟しています。日本企業にとっても、日本の鉄鋼の脱炭素化を求める声を上げる時がきていることは明らかです。

"2040年までに気候中立な企業になるという目標を達成するためには、サプライチェーンにおける鉄鋼の脱炭素化が不可欠です。SteelZeroのメンバーとして、ボルボは世界の鉄鋼業の脱炭素化を推進しています。日本のリーダー企業がこのイニシアチブに参加し、ネットゼロ・スチールと持続可能な未来への移行を加速させるために協力いただけることを切に望みます。"

ボルボ・カー・ジャパン 代表取締役社長 不動奈緒美

SteelZeroに加盟するメリットは?

知識の共有

鉄鋼業界のネットゼロ移行を推進するための課題と解決策に関する知識を共有します。

パートナーシップの構築

鉄鋼業界の脱炭素化を目指す、志を同じくするグローバル企業のコミュニティに参加することができます。

意欲を示す

エンボディードカーボン排出削減への明確な戦略を示すことができます。

ステークホルダーとの関わり

ネットゼロ目標達成に向けた課題に取り組むため、サプライチェーンへの働きかけ、および政策立案者に影響を与えるためのサポートを得ることができます。

SteelZeroへの加盟について

SteelZeroへの加盟へご関心のある方、詳しい情報を聞きたい方はこちら 。